■おぐら
【タイトル】 |
ちっちゃなぎんいろポムのおはなし |
【作者】 |
おぐら |
ポムっとしたものたちは、とっても仲良しです。
いつも3匹一緒に行動しています。それは家族であっ
たり、お友達であったり。
すみれいろでも、かぼちゃいろでも、ミントいろでも、
ふつうのポムでもいつも3匹一緒です。
ある所にちっちゃな普通のポムが居ました。
そのポムはお父さんポムとお母さんポムがいつも一緒
でした。
お父さんポムとお母さんポムは、そのちっちゃなポム
を「おちびさん」と呼んでとても大切にしていました。
毎日毎日、おちびさんはお父さんお母さんと楽しく暮
らしていたのです。
ですが、ある日の事……お父さんポムとお母さんポム
は悪い人に倒されてしまい、おちびさんだけが残されて
しまいました。お父さんお母さんはおちびさんを身をも
って守ったのです。
ですが……おちびさんはこれからどうしたらいいのか
途方に暮れてしまいました。
それからおちびさんは毎晩泣きました。
夜空を見上げ、空に浮かぶ綺麗な月を見て、毎晩毎晩
泣きました。
しかし、それは決して自分の身に起った悲しいできご
とをなげいていたわけでは無いのです。
最期まで守ってくれたお父さんポムとお母さんポムを
思って泣いていたのです。
ちっちゃなポムを大事にしてくれたお父さん、お母さ
ん。2人はおちびさんがおとなになるのを楽しみにして
いました。
「せめてお父さんとお母さんに、立派になった姿を見せ
られたらよかったのに……」
おちびさんは銀色に輝く月光に照らされながら、たっ
た1人で泣き続けました。
何日も何日も泣き続けました。
あるとき、おちびさんは自分の身体がきらきら光って
いることに気がつきました。
もしかしたら、月の光を浴びすぎたのでしょうか。
あのお空の月みたいな、銀耀石を思わせるような色で
した。
背中にはちっちゃな羽が生えて、頭上には天使の輪が
キラキラ光っています。
いまの姿をお父さんお母さんに見せたらきっと立派に
なった、きれいになったと喜んでくれるに違いありませ
ん。
それに、なんだか足も速くなった気がします。
全身にうんと力を込めるとからだのキラキラがとって
もまぶしくなり、それを見たら魔獣でも人間でもきっと
目がくらんでしまうことでしょう。
「きっと空の女神様や、お父さん、お母さんが、力を貸
してくれたんだ。悪い相手から逃げられるようにって」
おちびさんはそう思いました。
お父さんお母さんが、姿は見えなくとも、一緒に居て
くれるみたいで、ちょっとだけ嬉しい気持ちになったお
ちびさんは、ひさしぶりに泣くのをやめました。
……そう、このちっちゃなポムはシャイニングポムと
呼ばれる魔獣になったのです。
もしもあなたが、どこかでちっちゃくてキラキラ輝く
ポムを見つけたら、それはシャイニングポムとなったお
ちびさんかも知れません。 |