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時を同じくして、ひとりの少年がこの地にたどり着いた。
少年の名は、アドル・クリスティン。
「冒険」という魔法に魅入られた少年。
彼は好奇心に満ちた黒く輝く目と、
どんな岩山でもよじ登れる身軽な体、
そして決してあきらめない、意志の強さを持っていた。
ミネアの町の、ただならぬ空気を敏感に感じとったアドルは、
渦に巻きこまれていくように、冒険へと足を踏み入れた。
自分がイースの運命を左右することになるとも知らずに……。
町から銀製のものが盗まれるという。
行方知れずの人が後を絶たないという。
「イースの六冊の本を取り返さなければ……」
サラという女占師の言葉に導かれ、
アドルは大きく抉られた山の縁に建つ、
神殿へと向かった。
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