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■ヒノっち

【タイトル】 ミシュラム
【作者】 ヒノっち

 あの事件から一カ月後、ロイドとティオは約束通り2
人きりでミシュラムにきていた。
 「ごめんなティオ、もっと早くにこれたらよかったん
だけど」
 「いえ、ロイドさんが約束を覚えていただけで十分で
す」
 「忘れるわけないよ。なんたってティオとの大事な約
束なんだしさ」
 「…」
 急にティオが蹴りを入れてきた。それをかろうじてよ
ける。
 「…えーとティオさん?」
 「失礼。反射的に足が出ました」
 「…そう」
 「では行きましょうか」
 「ああそうだな」
 中はまさしく夢の楽園だった。屋台に観覧車、ジェッ
トコースターなどとにかくみっしぃ一色だった。
 「すごいな、ほんとにみっしぃだらけだ」
 「…」
 「ティオ?」
 「…ほんとに楽園です」
 とてもにこやかな顔になっていた。
 (いつもこんなに笑えばいいのになあ)
 と心の中で残念に思うロイド。
 「それじゃ行こうか」
 「はい!」
 するとロイドはティオの手を握ってきた。
 「ロ…ロイドさん!?」
 「こんなに込んでるんだしはぐれないようにさ」
 そういってロイドはティオをひっぱってアトラクショ
ンに向かった。

 「はあ…遊んだなあ」
「そうですね…さすがに疲れました」
ロイド達はジェットコースターや観覧車に乗ったり、
みっしぃの劇を観たり、みっしぃがお化けのお化け屋敷
に入ったりなど1日を遊び倒した。
「最後はあそこにしましょう」
ティオの視線にはお土産屋さんがあった。

店の中もみっしぃだった。お面にぬいぐるみ、手袋など
様々だ。
「すぐに戻ってきます」
「ああ」 
待ってるのもあれだし、おれも何か買っていこう。そ
う思って店内を眺めているとロイドはある物を見つけた
。そして自然とそれに手が伸びた。

 「もう…死んでも成仏できます」
船の上でティオは自分と同じくらいの大きさのみっし
ぃを担ぎながら話しだした。
「ほんとに押しつぶされて死んじゃいそうだよ・・・

「…ガイさんが助けに来てくれる前は本当にそう思っ
てましたよ」
「え?」
「病院でも話しましたけど私はなんで生きてるのかま
だ分からないんです」
「ティオ…」
ロイドはティオに近づいてある物を手に握らせた。
「?」
見てみるとティオのエニグマについているのと同じス
トラップだった。
「それでもいいじゃないか。もし一人で無理なら皆で
一緒に探せばいい。おれは兄貴みたいに何でもできる人
間じゃないけど…皆がいれば、いや皆がティオがいたか
ら今のおれがあると思ってる」
「…」
「おれは兄貴みたいな頼りになる約束はできないけど
、おれはティオの側にいる。側でずっと守ってやる。そ
れが俺なりの約束だ」
「…はい、頼りにしてますよ。ロイドさん」

 その日からティオのエニグマには二つのみっしぃが付
けられるようになった。一つは色あせたベテランな感じ
のみっしぃ、もう一つはきれいな新米のみっしぃ。その二
つは仲の良い兄弟のように仲良く揺れていた。

■ヒノっち

【タイトル】 ミシュラムで
【作者】 ヒノっち

 「ではロイドさん。早速ですがみっしぃに関する言葉
使いを教えます」
 「…ああ頼むよ」
 「…えい!!」
ティオが極小ダイヤモンドダストをぶつけてきた。
 「冷た!!」
 「ロイドさん。やる気あるんですか?みっしぃは語尾
がみしで終わるんですよ。徹底してほしいです」
 と言いながら怖い顔で睨みつける。
 「わ、わかった…みし」
 事の発端は30分前。

 「着ぐるみの人が皆食中毒ですか!?」
約束のミシュラムにティオと来ていた時偶然ベンチ
にいたぺルさんと会ったのだった。
「確かにみっしぃが居ないとは思ってましたが」
「そうなのですの。だから今日だけやってもらえない
かしら?」
「いや…でも」
ティオとの約束がと思いティオを見ると何やら自分
に熱い視線を送っていた。
「…ティオさん?」
「ロイドさん、やりますよね?」
「いやでも…」
「や・り・ま・す・よ・ね?」

 で今に至る。
「でも基本的に入口でお客さんに対応するだけなんだ
けど…みし」
「しかし徹底しておくに越したことはないかと。あと
、みっしぃはオレじゃなくてボクなのでお間違いなく」
「ああわかった…みし」
とんだ事に巻き込まれちゃったなあ。でも
「ティオ良かったのか?せっかくの休みだったのに。
これじゃティオが暇になっちゃうじゃないか」
「それは大丈夫です。ぺルさんが暇にならないように
私にセキュリティ強化の作業を手伝わせてくれるそう
ですから」
マリアぺルさん徹底してるな。ほとほと感心する。
「では子供の夢を壊さないように頑張ってください」
「…ああ」

 「あ〜みっしぃだ」
「いらっしゃいでみし」
「本物だ〜」
「そうでみしよ」
「写真とって〜!!」
「いいでみしよ」
「中にもみっしぃいるの?」
「後で僕が園内に入るかも知れないみし」
「ねえねえロイド見なかった?」
「見てないでみしね」

 「つ…疲れた」
やっと終わった。誰かに俺の事聞かれたような気がし
たし閉館間近にエリィとランディとキーアが出てきたよ
うな気がしたが…まあ気のせいだろう。
「お疲れ様でしたわ」
「お疲れ様ですロイドさん」
と二人が入っていきた。
「うん。ティオもお疲れ」
返事をして気付いたがティオの服が何故か売り子の
服装になっていた。
「あれ?その服…」
「ティオさん。仕事がはやく終わったんですけど一人
で見るのはあれだと言って手伝ってくださいましたの」
「ティオ?」
何故かティオが黙ってしまった。
「ええと…ティオさん?」
「その…一人で回っては約束が…」
「え?」
「ふむふむ…なるほどですの。どうも私は今回デート
の邪魔をしてしまったようですわね」
「えっ!?」
「私とした事が何という失態…ではお詫びと言っては
何ですが最高級ホテルのワンベッドルームを用意させて
いただきますわ」
「ええ!?」
「いえ、明日は業務がありますし謹んでお断りさせて
もらいます」
とティオはきっぱり断った。


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