■ちゅんにい
昔々のお話です。 ある国にとても美しいと評判の領主の娘がいました。 しかし階級制度が厳しいこの国では ある日のこと、街の酒場で 「…一度でいいから見てみたいもんだなぁ」 「本当にいるのか?誰も見たことがないんだろう?」 「娘の主治医が言ってたぜ?とびきりの美人だってな」 「おい、どうだ?誰が一番早くその姿を拝めるか 「面白そうだな、やってやろうじゃないか」 男達は我先にと挑戦しました。 悪知恵の働く詐欺師の男は大富豪の男に言いました。 「領主は金に困ってるらしいぞ」 「本当か?それなら」 大富豪の男は自慢の財力で領主の機嫌をとり、 詐欺師の男は武器屋の男に言いました。 「お前の自慢の武器なら娘の部屋まで届くだろう」 「そうか?よぉし」 武器屋の男は一目でいいので会ってくれないかと、 詐欺師の男は大工の男に言いました。 「千歳一隅のチャンスだぞ」 「おう、そうだな!」 大工の男は壊れた屋敷の修理を申し出ました。 その後も男達が次々と挑むも成功者は現れません。 そして誰も挑む者がいなくなったそんな時… 詐欺師の男は警備員を横目で見ながら 領主が自ら娘の部屋へ案内して男を紹介しました。 「娘よ、新しい主治医がおみえになられたぞ。 詐欺師の男は聞こえない様に呟きます。 「勝負は俺の勝ちだな」 広い部屋の中には豪華なベッドが一つ、 「どれどれ、どんな娘なのかね」 意気揚々とベッドの様子をみた詐欺師の男は 「前の医者は嘘つきでしたからね、 領主の手には血が染み付いたナイフが握られています。 「さあ先生、どうか娘を治してください」 |