■リマ・ゲッテン
【タイトル】 |
勇者ねずみのちっちゃな大冒険 (下) たいけつ |
【作者】 |
リマ・ゲッテン |
これは大変!!
エフィは腹が減ってもへちゃらだ!と自分にいえた。
隣のかわいいねずみちゃんに会わないのが
とてもとても寂しいけど、我慢できた。
でも目の前でそのねずみちゃんが食べられるのを
見ることは我慢できなかった。
「受けてみろ!シメキリの一撃を!」
剣の名前を叫びながら、エフィはネコの尻尾を攻撃した。
鋭い刃は太い尻尾を裂いた。
さすがのネコもびっくりした。
「にゃうああああ?!?」という痛みの声が
全ビル中に広がっていた。
動きの泊まったねずみちゃんもびっくりして
エフィを眺めた。
「僕がネコをとめて見せる!だから君が安全な場所へ!」
そういいながら、エフィはシメキリをも一度
ネコに向けた。
でもなぜかねずみちゃんが動かなかった。
「はやく!」とエフィは叫んだ。
時間が止まっていたようだ。
やっと彼女がゆっくりに動き出してくれた。
ふたりは逃げた。力の限り逃げてきた。
なぜかネコは追ってこない。
もしかしてエフィの一撃で食欲をなくした。
その後、エフィとねずみちゃんが静かに座っていた。
パンを食べ終えて、少し落ち着いた気分になっていた。
「何でそんな危ないことをしたんだ?」
とエフィが聞いてみた。
「だってあなたに会いたかったもん」
と彼女が答えた。
びっくりするエフィに、ねずみちゃんが説明してくれた。
実は彼女もエフィを見かけたことがあって、一度話を
してみたかった。そしてここ数日、エフィの姿
が見当たらないせいで、心配になって探しにきた。
それを聞いて、エフィは感謝の気持ちを
とめることができなかった。でもそれをどうやって
言葉にするのがわからなかった。
やっといえたのは、馬鹿単純な話だけだった。
「・・・明日から、一緒にパンを探さない?」
「いいよ」
その単純な言葉に、エフィはとても幸せになった。
そして今日も、ふたりのねずみが焼きたて
のふわふわパンを探しに行く。
あなたには、彼らが見えるかしら?
おしまい |