■蓮華
【タイトル】 |
(アルセイユ+ユリア)×ケーキ=? |
【作者】 |
蓮華 |
「邪魔するでぇ〜〜」
独特の話し方の商人、ミラノがここ「R&Aリサー
チ」に入ってきた。
「ようこそお越しくださいました、ミラノさん。」
そんな彼女を迎えたのは桃色の髪に狐のように細く、
少々つりあがった目が特徴のカノーネ・アマルティア秘
書だ。
ミラノは礼儀正しく迎えたカノーネ秘書を見て、「あ
かんなぁ。」と漏らした。
「あかんなぁ、カノーネちゃん。"邪魔するで"って
言ったら、"邪魔すんなら帰ってや"って言わな。常識
やで、ホンマ。」
カノーネ秘書はそんなミラノに、「恐れ入ります。」
とあっさりと返した。どうやら、慣れているようだ。
その隣ではアラン・リシャール所長が二人のやり取り
を面白そうに眺めながら立っていた。
「本日はどのような御用で?」
「あぁ、今日はな以来とちゃうんよ。これこれ。」
ミラノが取り出したのは小さな紙の箱だった。
「ケーキ・・・ですか?それは。」
カノーネ秘書が首をかしげながらミラノに尋ねる。
「せや」とミラノはうなずいた。
「これ、今度オルド自治州で売ろうかと思っとんねんな。
んで、所長とカノーネちゃんにこのケーキの商品名を決
めてほしいんや。どや?」
「商品名・・ですか?」
カノーネ秘書とリシャール所長は顔を見合わせた。
「まぁ、いつもお世話になっとうからそのお礼とおもて
くれてええよ。とにかく、見るだけでも見てくれや。」
そういうミラノに押され、三人は二階へと上がり、カ
ノーネは成り行きで紅茶を入れた。
「これがそのケーキや。」
そこには、真っ白なクリームの上にチョコペンでリ
ベールが誇る親衛隊所属艦アルセイユ号が描かれていた。
その周りにはイチゴなどのベリー類のフルーツが鮮やか
に飾られていた。
「これは・・・。」
そのケーキの繊細さに感動するリシャール所長と、自
分のライバルのユリア・シュバルツ大尉を思い出して目
つきがさらに鋭くなったカノーネが同時につぶやいた。
「どや?すごいやろ。こういうのが今は皆欲しがっとう
と思うんよね。アルセイユ、人気やし。」
「私にいい名前がありますよ、ミラノさん。」
カノーネ秘書が手を上げて言った。そして、ミラノに
そっと耳打ちした。
それから数日後、オレド自治州およびリベールにはこ
んなチラシが配られた。
「リベールの親衛隊所属艦アルセイユ号が描かれ
た、"アルセイユリアケーキ"本日発売!!」 |