■キセキファン
クロスベルでの配達を終えて再び空へ飛び立つ山猫号。
かつては空賊として、今は特急便として翼を
広げている。
「はぁ〜、やっと終わった〜。」
「お疲れ、ジョゼット。経理に営業は大変だな。」
「僕の仕事よりもドルン兄やキール兄が一番大変
だと思うけど。」
「そうか?社長の俺はもう慣れたがな。」
などと、世間話をしている時にレーダーに機影が映る。
(こりゃあ、国際定期船だな。気にとめることも
ねえけど…ん?。)
レーダーに新たに反応したが、定期飛行船よりも
小さい。
(まさかな…)
ドルンは、前回ギルバートらの結社に
襲われたことを思い出した。
(あの時のようなことはねえとは思うが、
一応見ておくか。)
「キール、すまんが国際定期船まで近づいてくれ。」
「え?」
「ドルン兄?」
「なんで?って思うのはわからんでもねえ。
実はな…。」
ドルンは、先ほどのレーダーに映った小さな機影、
そして前回の襲撃を含めて、国際定期船が襲われる
可能性もあるということを説明した。
「確かに一理はあるな。見てみるか。」
「うーん。ドルン兄がそう言うなら見てみよう。」
キールとジョゼットは納得し、社員に説明後
国際定期船に進路を向けた。
「ちょ、ちょっと!襲われてるじゃない!」
しばらくして、近づくとドルンの不安は
すぐに現実となった。
小型飛行艇から武装した兵が、銃を乗客に向けて
おり、抵抗しようとした人は撃たれて、その場で
倒れこんだ。
「ねぇ、どうするの!?僕はこんなの
放っておけないよ!」
駆けつけては見たものの、事の成り行きを
ただ黙って見ていることに、ジョゼットは
ドルンとキールに叫んだ。
「ジョゼット、俺だってあの状況を見過ごすこと
はできねぇけど…。兄貴、どうする?」
「あのまま放っておくつもりはねえぜ。だが、
社員を危険な目にあわせたくはないが…」
ドルンは社員に国際定期船の状況、カプア特急便
独自で人質を解放することを説明した。
社員の間で、躊躇いが多かったがこのまま
見て見ぬふりはしたくないという声が、
徐々に上がった。
この声にキールもジョゼットも賛同し、ドルンは
制圧作戦を行うことを宣言した。
元空賊による空賊退治が始まろうとしていた。 |