空の色が青みを帯びてきた。重くたれこめていた雲が、ゆっくり流れ消えてゆく。どこからか明るい鳥のさえずりが聞こえはじめた。
朝日が昇ろうとしていた。
あたたかく満たしてゆく、冒険者だけが知る充実感。時の感覚を失っていたアドルは、ひとり戦いの終わりをかみしめていた。
床に崩おれたダルク・ファクトの黒いマントの下から最終章が記された、イースの本が見つかった。
塔の窓から地上を見おろすと、朝もやに包まれたゼピック村が見えた。ジェバ婆さんの家も見える。
「そうだ、地上に帰ったら、
一番にこれまでのことをフィーナに話してあげよう」
優しく微笑む彼女の顔を思い浮かべるアドルを、やわらかな光がつつんでゆく。
|