■windruby
【タイトル】 |
リボンの思い出 |
【作者】 |
windruby |
強い日差しの中、ある一人の元気そうな少女が、
広場で美味しそうにアイスクリームを食べていた。
栗色の綺麗な髪には、大きな黄色のリボンが
結ばれている。
「やっぱり任務完了後のアイスが一番美味しいなあ。
あ、でも今朝もう食べたけど……ま、まぁ、
最近はかなり控えているし、今日は
自分の努力へのご褒美だからしょうがないよね〜。」
そう呟きながら食べていると、
突然、少女の黄色のリボンが地面に落ちた。
「あれ?何で落ちちゃったの?まさか、
魔獣退治の時、傷めちゃったのかな?
でも、このリボンは……」
少女は俯いて、手のひらにある黄色のリボンを
じっと見つめていたが、急に何かを
思い出したようで、淡い微笑を浮かべた。
───それは私が遊撃士になる前の話。
自分が今のこの道を歩くきっかけになった小さな物語
あの日、私が山道を歩いていると、
あるお姉ちゃんが魔獣に囲まれていた。
私は剣ができるし、この程度の魔獸なんて、
きっと簡単に倒せる……って勝手に思った。
でも、自分の力はそれほど強くなかった。
結局、逆にそのお姉さんが私を、助けてくれた。
魔獣が倒れたその時、お姉さんが髪に
つけていたリボンがふわふわと落ちた。
それは、輝いてみえる、勇気に
満ちあふれた黄色のリボンだった。
───これが
私と大事なリボン<あの人>とのはじめての出会い。
「お姉ちゃんすごい!もしかして遊撃士?」
『はは、昔はそうだったけど……』
「あっ、これ、お姉さんが落としたリボン。」
『え?落ちてたの?全然気付かなかった、ありがとね』
お姉さんは、私の顔をじっと見つめた後、
微笑を浮かべながら、私に手を伸ばしてきた。
『じゃあ、このリボンは……』
お姉さんはニコニコしながら、私の髪にリボンを
結んでくれた。
『似合うね〜やっぱりかわいさは正義だ☆』
「え?私にくれるの?」
『うん、なんだか君を見ていると、昔の自分が鏡に
映し出されているみたい。
人を助けたいという気持ちと、剣に対する思いも……
そうだ!君、剣は好き?』
私は考えることなく、即座に答えた。
「うん、大好きです。」
この答えを聞くと、お姉さんはまたニコニコした。
『そうか、やはり同じだ。』
「え?」
『君も剣を愛しているなら、必ず私より強くなれる。
このリボンに誓って言うよ!』
「うん!私、頑張る!必ず遊撃士になる!
このリボンは大事に持ってる!」
『待ってるよ、未来の遊撃士さん』
───その後、リボンとともにあった私は、
あのお姉さんの言うとおり、遊撃士になった。
少女は膝をついたまま、
手のひらにある黄色のリボンを
暖かく見つめていたが、やがて大事そうにリボンを
髪に結んで勢いよく立ちあがった。
「お姉さんの期待に答えられるように。
もっともっと頑張らなくっちゃ……」
少女は腰にはいた剣<迅羽>を抜き、
はるか遠くの空に向けて掲げ、宣誓する。
───このリボンは私の勇気の源、そして遊?士を
志す決意を固めてくれた、大事な物。
大事な人との思い出の絆。 |