■銀朱
【タイトル】 |
業務日誌:ウルスラ病院ラゴー教授vsゲイリー教授 |
【作者】 |
銀朱 |
某月某日:ラゴー
ほとんどの患者が、ようやく蒼い錠剤の副作用から抜
け出たようだ。
ヨアヒム医師が、どう道を間違えてあの薬を開発した
かは、今となっては誰も分からん。だが、同じ医師とし
て、患者に対する取り組みや、薬学や神経学の研究成果
は賞賛に値するものだった。
彼が抜けた穴はとても大きい。彼の元で学んでいたリ
ットン研修医なら、彼の研究が少しでも分かるだろうか。
明日にでも院長と掛け合って、内科の研修医にしてもら
わねば。
某月某日:ゲイリー
おっと、ラゴー教授。抜け駆けはいけませぬな。未来
ある若者こそ、最先端の外科技術を学ぶべきですぞ。
それにラゴー殿は人を育てるのが下手だとお見受けし
ましたが。
リットン君だって、あなたのレポートのおかげで意識
が散漫して、事件のときに肝心な事を覚えていないし、
あなたの所の研修医にいたっては、評価を気にするあま
り、肝心の患者を診ていないではないですかな。
リットン研修医に関しては、外科で面倒を見ますぞ。
某月某日:ラゴー
そうは仰いますがな、ゲイリー殿。あなたの所だって
部下の教育がなっていないではないか。
いつも遅刻してくるわ、とんでもない爆発音が内科外
来まで聞こえてくるわ、いったい病院を何だと。
外科なんぞ物騒な所に、優秀な研修医を置けんな。
某月某日:ゲイリー
内科に行くとハゲが感染しますからな。そうですか、
ラゴー教授がリットン君を欲しがる訳は、ヨアヒム医師
の薬学で毛生え薬を作りたいからですな!
某月某日:ラゴー
外科の教授はストレスをまったく感じない単細胞だか
らハゲないのだな。
某月某日:ゲイリー
貴様! ちょっと表に出ろ!
某月某日:ラゴー
何を! 貴様こそ!
某月某日:リットン研修医
あのー、僕はいったいどうすれば......
某月某日:ラゴー
うるさい!
某月某日:ゲイリー
お前は黙っていろ!
某月某日:リットン研修医
うう......あんまりだ...... |