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■獄落

【タイトル】 ゴルディアス級メタル刑事タドリー
【作者】 獄落

『クロスベル州・IBC・エプスタイン財団
の超共同連携製作ゴルディアス級オーバルギア
初動!!昨晩、東クロスベル街道のタングラム
門付近に突如発生した大型魔獣の大群に対し、
以前より州内で話題騒然となっていた新型オー
バルギアが初始動。見事、被害を広げることな
く討伐に成功した。』...

———

「こちらエリィ、敵の位置情報を受けたわ。敵
はマインツ山道渓流の上流域よ。」

「こちらランディ、1番ハッチ開けたぞ。ティ
オすけ、いつでも出れるからなぁ。」

「こちらロイド、状態に異常なし。全ユニット
良好だ。」

「こちらティオ、問題なさそうです。それでは
起動開始します。お願いします、タドリーさん。」

「ふん、こちらタドリーだ。それでは開始する。
ふぅー・・・はぁぁぁあああ!」

《ブン ブン ブーン。wait minute……OK!起
動セット完了》

「いきます……アクセス‐接続‐。エイオン
システム起動。………メタル刑事(デカ)タドリ
ー……」

 カタカタカタカタ、ガチャン!ガチャン!ギュ
ルルルルウウウウ!……ガチャコン!!

「「GO!」」

 ドゥギャャヤアアアアン!!!

 これが満を持して開発されたオーバルギア、
メタル刑事タドリーの2度目の戦いであった。

「ったくティオすけもおっさんもノリノリだな
ぁ。」

———

 タドリー捜査官をモチーフにした全長10m
はあるオーバルギアが風のアーツを駆使しなが
ら目的地であるマインツ山道渓流の上流域へと
向かっていた。

「……いました」

 ティオの視界に大型魔獣が映った。

「ふん、さっさと片付けるぞ」

 コアで力を送るタドリーの幼き夢はロボット
のパイロットだった。故に自分から志願し、コ
アの源として同乗しているのだ。
ズドーンと音を立てて大型魔獣の前に立ちは
だかったメタル刑事タドリー。

「ティオちゃん、その魔獣の弱点は火よ。」

 エリィのオペレートが入る。

「了解しました。導力銃を駆使して——っ!?
タ、タドリーさん?」

 ティオの操縦に反して動こうとするタドリー
ロボ。

「馬鹿かお前達は!森を焼き尽くすつもりか!
ここは私に任せろ!」

 ちゃんとアラウンドノアで……と口にする
ティオを無視してタドリーが吠えた。

「いいか、貴様!このメタル刑事は土地を愛し
人を恋う、クロスベルを守る正義の形だ!」

 ティオの操縦を無視して魔獣を指差し、文句
を述べていく。そしてティオに対し私に続けと
命令。「あ、はい」と流されてしまうティオ。

「これ以上の愚行もう許さんぞ(ロボがコート
を脱ぎ捨てネクタイを緩める)………うぉお
おお!!喰らうがいい………」

「「ジャスティスハンマァァアアアア!」」

 ドゴオオオオオン!!!

————

「……んん……メガネスーツ……自分勝手
過ぎます………。」

「あら?ティオちゃんこんな所で寝ちゃって。」

 ソファーで寝ていたティオにエリィが気付き、
フフと笑みを浮かべた。そして毛布を持って来
てそっと掛けた。

「……正義の鉄槌……ですね……。」


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