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■スペリオル・モスキート

【タイトル】 動き始めた者
【作者】 スペリオル・モスキート

ある日、聖杯騎士団の守護騎士である
ケビン・グラハムの元に一通の手紙が届いた。
クロスベルで活躍していると聞いた、エステルと
ヨシュアからの物だった。
苦難を共にした仲間からの連絡を嬉しく思い、
手紙を開けた。


守護騎士、ケビン・グラハム様へ
お元気ですか?ケビンさん。僕達はクロスベルで
遊撃士の仕事をこなしながらレンを探して
いましたが、遂にレンを見つけ出し、一緒に
暮らせる事になりました。レンの両親は、レンを
愛するが故にレンを手放さなければならなかったと
聞きました。
「レンは愛されてた!」と、嬉しそうに笑った
レンの顔が印象的でした。
これからはレンの笑顔を僕達が守っていきます。
ケビンさんもリースさんと仲良く頑張って
ください。

           遊撃士 ヨシュア・ブライト
エステル・ブライト                       

』     

「そうか、遂にレンちゃんを捕まえたか。」
あの二人の執着は半端じゃなかったからなぁ。
「しかし、クロスベルって事は一騒動あったんやろな。
今度こそレンちゃんは幸せになるとええな。」
そうや、リースにも伝えてやらんと。
しかし、ケビンはその手紙をポケットに仕舞いながら、
「はぁ、でもこっちは偉いことが起きそうや。」
と呟いた。
「ケビン!」
すると、とある人物がケビンを呼んでいた。
「セルナート総長。」
その人物はケビンと同じ守護騎士であり、ケビンの
師でもあるアイン・セルナートだった。
「これよりハーメル村から盗まれた《剣帝》
レオンハルトの剣について会議を始める。
あれは外の理で作られた剣だと彼自身が
言っていたのだろう?」
「ええ、言ってました。」
「古代遺物かもしれない物が悪用される
恐れがあるなら黙ってはいられない。
お前も動く事になるだろう。」
ケビンは溜息を吐き、
「今度は剣かいな。もう勘弁してくれや。」
と、雲一つない空に愚痴を零した。

〜数日前〜
かつて惨劇の地となった村に、一人の人物が
立っていた。
「貴方が亡くなってしまって本当に残念です。
何れ私を超える剣士になってくれると思って
いたのですが。」
そう言って、墓前にある剣を手に取った。
「しかし、この剣を手にする念願は叶いました。
代償は…余りにも大きかったですが。」
「しかし、この剣は我らが盟主が大陸に授けた三剣の
内の一振り。私は三剣を必ず集めねばならない。
二本目は《剣聖》と呼ばれる男が持っている。
状況次第では葬らねばなりませんね。
カシウス・ブライトを。」
そして空を仰ぎ、
「盟主よ。御身が大命と私の計画は無関係。
しかしお許しください。私の行動は全て御身が為。」
と、見えない何かに忠誠を誓った。
「さて、最後の一振りを取りに行きましょう。」

物語は胎動する。
そして、大陸は新たな危機を迎える。


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