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■bouz

【タイトル】 永遠の約束
【作者】 bouz

 クロスベル大聖堂の墓地にて。
 兄の墓に花束を置くロイドの姿があった。

「…兄貴。報告が遅くなってごめん。
大事なもの、ちゃんと守ることができたよ」

 彼は兄に報告しに墓前に訪れていた。
つい先日クロスベルを騒がせた教団の事件の解決。
その他いろいろ話す。

「いつもと変わらない日々だけどさ。
それでも俺、兄貴に近づけたと思うんだ」

 彼は返答のない墓前を見つめる。

「正直に言うとさ、俺ただ兄貴の背中を追いかけてた
だけだった。街の人達を守りたいと言ってても
結局は兄貴の幻を追ってただけさ。
だって兄貴は———」

 兄貴は、俺の理想そのものだったから。

「でもさ、今はそれだけじゃないんだ。
本当に大切なものを守るために戦う。
それが辿りついた思いだから。
少しは兄貴に近づけたかな。
…はは、独りよがりにも程があるよね」

「それは決して独りよがりではないさ」

 彼の台詞を否定する言葉が背後からかけられた。
振り向くとそこには見知った長身の男がいた。
兄の親友であり凄腕の遊撃士として名を馳せる
アリオス・マクレイン。

「アリオスさん、どうしてここに…?」
「私も友人に挨拶と思ってね」

 アリオスは墓前に膝を付き、花束をそっと置く。
目を閉じ祈りを捧げる。
そして彼は立ち上がり、ロイドに視線を向ける。

「兄との語らいを邪魔したな」
「いえ…」

 言葉が出ない。
この人なら兄の死について何か知っているでは?
自分の知らなかった兄のこともいろいろと。

「…さっき独りよがりではないと言ってくれました。
何故そう思うんですか?」

 本当に聞きたい事を言えずそう質問してしまう。

「奴も同じ事を言っていたからな」

 ふ、と小さく笑いアリオスは墓前を見つめる。

「兄も、俺と同じことを?」

「ああ。それに君はガイではない。
ロイド・バニングスだろう?
この街を守った捜査官だ。
それを誇れ。自分の信じる道を進め」

「アリオスさん…」

「…とガイなら言うだろう」

 その通りだった。
ロイドは目頭が熱くなる。
涙は流すまいと視線を空に向ける。

「いずれ『真実』に辿りつけるかもしれない。
辛い事実を突きつけられる事になるだろう。
それでもまっすぐ自分の信念を貫き通せるか?」

 アリオスのその問いにロイドは自信を持って頷く。

「当然ですよ。
それに俺ひとりだけじゃないですからね」

 ロイドの視線の先。
アリオスは斜め後に視線を追う。
日曜学校が終わり走ってくるキーア。
その後ろにはエリィ達もいる。

「そうだな。長居しすぎた。私はこれで失礼する」

 アリオスは満足そうに背を向け歩き出す。

「また会いましょう」
「ああ」

 アリオスは歩きながら頷く。
途中でキーアに飛びつかれ、彼女の頭を撫で、
エリィたちと会釈を交わして大聖堂を後にする。

「見守っててくれ兄貴。俺も頑張るからさ」

 墓前に笑いかけロイドはキーア達の元に歩み寄る。

 晴れ渡る空の下、交わした兄への誓い———


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