■bouz
クロスベル大聖堂の墓地にて。 「…兄貴。報告が遅くなってごめん。 彼は兄に報告しに墓前に訪れていた。 「いつもと変わらない日々だけどさ。 彼は返答のない墓前を見つめる。 「正直に言うとさ、俺ただ兄貴の背中を追いかけてた 兄貴は、俺の理想そのものだったから。 「でもさ、今はそれだけじゃないんだ。 「それは決して独りよがりではないさ」 彼の台詞を否定する言葉が背後からかけられた。 「アリオスさん、どうしてここに…?」 アリオスは墓前に膝を付き、花束をそっと置く。 「兄との語らいを邪魔したな」 言葉が出ない。 「…さっき独りよがりではないと言ってくれました。 本当に聞きたい事を言えずそう質問してしまう。 「奴も同じ事を言っていたからな」 ふ、と小さく笑いアリオスは墓前を見つめる。 「兄も、俺と同じことを?」 「ああ。それに君はガイではない。 「アリオスさん…」 「…とガイなら言うだろう」 その通りだった。 「いずれ『真実』に辿りつけるかもしれない。 アリオスのその問いにロイドは自信を持って頷く。 「当然ですよ。 ロイドの視線の先。 「そうだな。長居しすぎた。私はこれで失礼する」 アリオスは満足そうに背を向け歩き出す。 「また会いましょう」 アリオスは歩きながら頷く。 「見守っててくれ兄貴。俺も頑張るからさ」 墓前に笑いかけロイドはキーア達の元に歩み寄る。 晴れ渡る空の下、交わした兄への誓い——— |