■Maguaki
【タイトル】 |
フランの魔獣退治 |
【作者】 |
Maguaki |
私はフラン・シーカー。クロスベル警察の受付兼特務
支援課担当のオペレーター!
現場で頑張る皆様のことを影から支えるのが私の仕事
です。仕事はとっても楽しいし、やりがいがあります。
これからも皆様のお役に立てればと思います!
…何が言いたいかって?
うーん、つまりはですね。
魔獣退治は私の仕事じゃありませーん!!
「ま、魔獣退治ですか?」
仕事で訪れたアモリカ村で私はトルタ村長に依頼を受
けていた。
「ええ。警察に依頼したのですが、人的被害が無いこと
や人手不足を理由に未だに退治されておらんのです。」
確かに今は一連の事件の影響で警察は人手不足が続い
ている。だからって私に依頼されても…。
「お願いします!このままではこの村は…!」
うっ。そんなに必死だと断りづらい…。
「えっと、とりあえず本部に相談してみますね。」
本部に連絡して他の人に任せよう。私はそう考え、通
信を始めた。しばらくして課長に繋がった。
「課長、すみませんが一つお願いがありまして…。」
私は依頼内容を伝えた。しかし、返事は驚くべきもの
だった。
警察犬ツァイトを伴い、魔獣退治を行え。その程度の
魔獣ならば十分なはずだ——
私は声も出なかった。いくら人手不足とはいえ、受付
係に魔獣退治をさせるとは。
しかし、依頼を断れば特務支援課が積み上げてきた警
察への信頼を失いかねない。私はそう判断し、結局依頼
を受けることにしたのだった…。
そしてこの状況である。魔獣に囲まれて、私は既に戦
意喪失気味である。
無理!だって警察に入ってから実践なんてほとんどし
てないんですよ?しかも魔獣相手なんて初めて!
ツァイトがいたって無理だって!
しかし、そんな私とは反対にツァイトは冷静そのもの
だった。
なんでそんなに冷静なの?だって相手は2アージュ以
上ある魔獣の群れだよ!?
混乱する私を尻目にツァイトは遠吠えをあげた。
「ウオォォ——————————ン!!!」
それだけ。何も起こらない。しかし、絶望から私が座
り込んだ時それは起こった。
何かの息遣いが聞こえ始めた。最初は小さかったのに
それはあっという間にうるさいほどの大音量になった。
回りを見渡すと、そこには数え切れないほどの狼が集
まっていた。
なん…で?
混乱する私にツァイトが唸った。
——大丈夫。
私にはそう聞こえた。
次の瞬間、狼達は一斉に魔獣に襲い掛かった。
魔獣退治から帰った私は落ち込んでいた。
私は魔獣退治は自分の仕事ではないと思っていた。も
ちろん間違いではないし、本来の仕事を犠牲にするのは
許されない。でもそれを理由に私は"守られる"ことが
当然になっていた。本来は"守る"ことが仕事にも拘ら
ず。
…よしっ!
私は両頬を叩き気合を入れた。
落ち込むのはここまでにしよう。守られるのもここま
でにしよう。だから、せめて自分を守れるくらいにはな
ろう。だから…。
私はエニグマを取り出し、警察学校の番号を押した。 |