■輝咲
自分ではもう、何年ここにいるのか数えたこともない。 昨日も今日もそして明日も……変わらない悠久の時がゆ 母の胎内に似た…私を形成する青白く輝く温かな羊水の わたしをつつんでくれる優しいかわることのないゆりか 暗くて広くて、ぼんやりと光っていてきれいだけれども
それがわたしの知るすべてだった。
"キーア……" 声が、聞こえたような気がした。 わたしを…よんでる…声?…わたしがキーア…? ぼんやりとする頭の中でわたしは、キーアという単語を と、同時にわたしを包んでくれていた温かな寝床が失わ 今までのわたしがなくなってしまうような、変化に戸惑 "大丈夫…。" 優しい声が聞こえてきたような気がして、わたしは少し "…おいで。" その声に誘われるように顔を上げると、暗くて顔はみえ この人は大丈夫、怖くない。そんなきがして…わたしは "いい子だ…。これからいいところに連れていってあげ そういいながら手を重ねたわたしをだきあげ、その人は 新しい寝床は温水のように温かくわたしを包んでくれは 優しく髪をすき、寝かしつけるような優しい指先でわた そのまま寝入ってしまうのは…ダメ、と心の中が警鐘を "…おやすみ…" カチリ、という小さな音とともにわたしとその人を遮る こわくないと感じたのは間違いだったのか?とおもう反 まどろんでいた場所がかわると…違うところを知ってし 光がないのも、不安を増長させた。 でも、大丈夫。あのひとは、もう少しだけ…といったか まだみぬ未来へ、灯る希望の光。 まどろんでいくと同時に、記憶が混在し、遠くに押しや すべてが消えて行ってしまう。 そうなるまえに、つよく、そう願った。 わたしは…キーア…。
ワタシヲ…ミツケテ… |