■瑞山藤華
午前中は二手に分かれて行動していた。 事件は、食後の片付け中に起こった。 ガッという鈍い音とともに、女性の悲鳴があがる。 「大丈夫か、エリィ!?」 「…だ、大丈夫…ちょっと椅子に足を…」 どうやら椅子に膝のあたりを強かにぶつけたらしい。 二人分の食器はテーブルに避難してもらい 「大丈夫だってば…」 エリィは苦笑いを浮かべて身を引き、再度歩き出す。 「ちゃんと手当てしないとダメだろ!」 「きゃっ!?」 言っても聞いてもらえないなら、実力行使するまで。 エリィは何やらモゴモゴしていたが、気にも留めず 「きゃぁああああっ!!お、下ろしてぇえっ!!!」 耳元で発せられた高音の悲鳴に一瞬意識が飛んだ。 それでもエリィを落とさなかった自分を誉めたい 「下ろして!下ろしてってば!!」 ジタバタ暴れるエリィを何とか抑えこみながら 足を怪我しているとは思えないスピードで 「ロイドの、バカ!!!」 「…えぇ!?」 一体俺が何をしたっていうんだ!! 「…ロイドさん、うるさいです。」 …いつの間にか後ろにいたティオに言われて驚いた。 「えっ、いやっ、叫んだのは…」 エリィだし…という言葉は冷ややかな瞳に吸い込まれ オロオロと視線を泳がせると応接ソファの陰に 「…ランディ」 ピクと反応した赤が起き上がり、それは確信になる。 「…なにが可笑しいんだ」 「くくっ…いやぁ…さすが、ロイドだなって…」 込み上げる笑いを御せずに、途切れ途切れに話す 「この…天然、たらし、め。」 耳元で低く告げられたその言葉は 気付くと階下に取り残されているのは自分一人で、 …そんな午後。支援課は今日も平和…らしい……。 |