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■UFO

【タイトル】 寂しさも喜びも家族とともに
【作者】 UFO

 クロスベル全土を巻き込んだあの事件から一ヶ月、事
態収拾のために奔走し、ようやく落ち着きを取り戻し始
めたある休みの日。

「ねぇねぇ、ロイド〜」
「? どうかしたか、キーア」
最近特等席となりつつあるロイドの膝の上で本を読ん
でいたキーアが、
「パーティっていつするの〜?」
「パーティ?」
「ランディがいってたよ?」
「あぁ、それのことか。もうすぐダドリーさん達も仕事
が一段落つくらしいからそのときかな」
「えへへ、またみんなと会えるね!」
「そうだな。そうか…あれからもう一月になるんだな」

 あの決戦後、本当に色々なことが変わりつつある。
(それでも、何があっても、キーアは俺が、いや俺たち
が守ってみせる。そうだよな、兄さん。)
無垢な笑顔を見つめながら、そう心に誓う。

「ロイド〜?どうかした?」
「いや、なんでもない。そうだ、今度のパーティなんだ
けど、キーアが料理作ってみないか?みんなびっくり
するだろうし。もちろん俺たちも手伝うからさ。」
「キーアが作るの?えへへ、じゃあいまからさっそく買
い物にれっつごー!」
「えぇ?!さ、さすがにまだ早いと思うぞ?」
「そうなの?……それじゃあ、」
「?」

「きょうはずっと、キーアといっしょにいてね?」

 最近、右肩上がりで人気上昇中の特務支援課。当然、
支援要請もそれに比例して増えてきている。駆け出し当
時の頃を考えれば喜ばしいことではあるのだが、ツァイ
トや課長が傍にいてくれるとはいえ、それは彼らがこの
天真爛漫な、そしてぬくもりを愛する少女に割いてやれ
る時間が減ることも意味していた。それでも…

「もちろんさ。何かしたいことはあるか?みんなもいる
し今日はなんでもできるぞ?」
「うんっ!ロイド、だ〜いすきっ!」

——君のぬくもりと笑顔が、ずっと続きますように。

〜おまけ〜
部屋の中の二人は気づかなかったが、扉に三つの影。
(おぅおぅ、見せてくれるねぇ。しかし、ロイド、お前
もう完全にパパの顔だな)
(キーアちゃん、ずっと私たちの前では笑顔だったけれ
ど、きっと寂しかったのね)
(キーアは優しいですから。しかしあの懐き具合は…)
三人は顔を見合わせ、頷き合い、そして…

「おい、ロイド!お前ばっかずりぃぞ!!」
「本当、あなたって人は…」
「パパ系草食男子を装った喰いまくりのリア充やろ〜で
すね、ロイドさん」
「なっ!?」
「あはは、ロイド、ヘンなかお〜!」

——今日も平穏と言う名の日常は流れてゆく。
〜Fin〜


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