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■ステア

【タイトル】 クウの憂い(下)
【作者】 ステア

 私は、このどうしようもなく不仲な三属を
懲らしめることにしたのです。特定の誰かが悪い
というわけではありません。それでも、
セイメイを左右する立場にある妖精たち同士で
争うことは、許されないことでした。

 世界各地で竜巻が起こります。それがスーに頼んだ
地上に対する私からの警告でした。
地球がまだできて間もない頃に、地上はあらゆる
天災に見舞われました。現状と似て異なるのは、
私たちが協力の意識の元に、世界を創るために必要で
天災を起こしたということ。
そうしてできあがった世界を今は壊そうとしている。
私はそれが許せなかった。

『一つの世界を創ります。貴方たちはそのために
生まれたのよ。だから、仲良くしてね』

 ようやく私は女神エイドスの言葉を思い出しました。
女神は私たち妖精が争うことを予見していたのです。

 結局、アオ、ドリィ、ファイは警告を無視しました。
私はまず、天上に雲一つ創らずに天候を
何万年も日照り状態にすることで海を涸らし、
アオを懲らしめました。
次に、天上を雨雲で覆い、何万年も絶えず
雨を降らせることで世界から熱を奪い、
ファイを懲らしめました。
ドリィはこれ以上天候を左右されたら、
陸がもたないと泣き叫ぶことをやめ、
反省してくれました。
こうしてようやく、妖精同士の争いは
終わりを迎えたのです。

 私たちが争えば世界は滅びに向かってしまう。
でも、私は同時にこう思うのです。
私たちが互いを思い、尊び、仲良くすることで
美しい世界を創り出せるはずだと。

 更に数十億年後、七耀の妖精全てが関わって誕生した
セイメイがあります。それらは、私たちと同様感情が
あり、自らの力で世界を創ることができる存在でした。
その名を"ヒト"と呼びます。

 "ヒト"にはどうか、私たちと同じ過ちを犯して
欲しくはないと願い、永久に見守り続けるつもりです。


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