ダイジェスト 閃の軌跡II
このコンテンツには「英雄伝説 閃の軌跡II」に関する重大なネタバレが含まれています。
終章「ただひたすらに、前へ」
《カレル離宮》を解放してほしい。そんな依頼が正規軍から届いた。
あくまで第三勢力の立場として引き受け、トワの号令をもって帝都郊外の《カレル離宮》へ赴く。
離宮に到着した《VII組》。最奥の広間には、両陛下や帝都知事、エリゼの姿があった。
潜んでいたアルティナが行く手を阻むが、なんとか傀儡を使う彼女を退ける。
やっとの想いで再会したリィンとエリゼ。
しかし事態は一転、セドリック皇太子だけがカイエン公爵に連れていかれたと知る。
アルティナから詳細を聞き出そうとする間もなく、帝都の空に“光の柱”が出現した。
皇城方面から発する光は形を歪め、禍々しい城へと変貌する。
──その名は《煌魔城》。《魔女の眷属》に伝わる最大の禁忌で顕現された、とエマは言う。
リィンは、出現したあの城にクロウがいる事を感じ取った。
決着をつけるべく、《VII組》全員で《煌魔城》へ向かう。
城内では、執行者や猟兵が待ち受けていた。
それでも協力者の助太刀によって、《VII組》はその先へ突き進んで行く。
やがて終点──《緋の玉座》へと辿り着いた。
何かの儀式を背に、立ち塞がるクロウ。
意識のないセドリック皇太子の傍で、カイエン公爵が口を開いた。
公爵の祖先である《偽帝》──オルトロス皇帝の野望の成就について。
それは《煌魔城》と《緋の騎神》を手に入れ、帝国を支配する事。カイエン公は悦に入って語る。
捕らわれたセドリックを解放する為、級友との決着をつける為、リィン達は剣をとる。
クロウとクロチルダも武器を構え、雌雄を決する戦いが始まった。
慣れた様子で連携を繰り広げるクロウとクロチルダに対して、《VII組》は苦戦を強いられる。
それでもこの一戦に全身全霊をかけ総力を結した戦いの末──リィン達《VII組》が勝利した。
ニヤリと笑みを浮かべるクロウ。起動者同士の執念をぶつけるべく、それぞれが騎神に乗りこんだ。
鍛えた刀に万感の想いをこめ、ヴァリマールで最後の勝負に挑む。
互いの限界を超えた戦い。ついにクロウの手から武器が離れ、《蒼の騎神》が膝をついた。
結果に現実味を持てない《VII組》。喜びは徐々にその場を包み、騎神を降りたリィンを仲間達が囲んだ。
クロウとクロチルダは潔く敗北を認め、これで内戦も終わった。
……かに思えたが、怒りに駆られたカイエン公爵は、250年前に災厄をもたらした魔神を復活させてしまう。
その名は《紅き終焉の魔王》。
《緋の騎神》とアルノール家の血を核に顕現され、帝国中から霊力を奪い尽くさんとしていた。
クロチルダは霊力吸収に対する結界を《VII組》の周りに展開する。
それでも魔王の底知れぬ暴威の前では長くはもたない事が目に見えていた。
そこで、クロウが打開策を講じる。
2人の起動者は再び騎神に乗りこみ、《終焉の魔王》と相対して機を窺う。
狙うはセドリックを取りこんだ“核”。
激闘の末、露出した“核”を切り離す為、クロウが魔王の攻撃を引き付ける──
──リィンは目にした。不意を突いた魔王の一撃が、《蒼の騎神》の胸を貫くのを。
『平気だ、立ち止まるな!』
『前を向いて、お前にしかできない事をやれ!』
その言葉に背中を押されるように、《終焉の魔王》へ間合いを詰める。
リィンは斬撃を放ち、魔王から“核”を引き剝がした。
《終焉の魔王》は咆哮をあげながら霧散していく。
救出したセドリックを気遣うリィン達。しかしそこにクロウの姿は無かった。
皆が見つめる視線の先……《蒼の騎神》は崩れ落ちる様に膝をつく。
淡い光を纏って騎神の外へ出たクロウは、胸を押さえ、弱々しくうずくまった。
全員が咄嗟に駆け寄ると、《蒼の騎神》と同じようにクロウの胸にも穴が開いていた。
エマが治癒術を施すも、流血は止まる気配が無い。
クロウは言葉を区切りながら、《VII組》やトワ達への想いを呟く。
『……ただひたすらに……ひたむきに……前へ……』
リィンの腕の中で、クロウは静かに事切れた。
そこへ、カイエン公爵の怒号が響き渡る。
諦めの悪い公爵に対し、クロチルダが凄む──その瞬間だった。
予期し得ない方向から声がかかり、白刃がクロチルダを襲う。
悠然と現れたのは、総参謀のルーファス・アルバレアだった。
皇族への不敬と大災厄を引き起した罪で、公爵と魔女の拘束を宣言するルーファス。
明らかに機を窺っていた彼がなぜ、連合軍の敗北が確定した今、現れるのか。どうして味方の2人を断罪するのか。
全員が疑問に思う中、その答えはレクター特務大尉達の登場で示された。
ルーファスは《鉄血の子供達》──その“筆頭”であるという事が。
そして、今この機密を明かす意味を裏付けるように、二度と出会うはずのなかった人物が歩み出る。
《鉄血宰相》ギリアス・オズボーン。クロウに胸を撃たれたその人だった。
唯一、事実を知らせた“筆頭”にオズボーンが与えていた任務。それは、貴族勢力の力を削ぐ事。
また一方で、宰相の策略は結社の《幻焔計画》を乗っ取らんとするところまで及んでいた。
『……どうして……
どうしてアンタが生きている!?』
『クロウが──あいつがした事が!』
『あいつの人生が……ぜんぶ無駄だったっていうのかよ!?』
叫ぶリィンに、ルーファスは宰相の事情は君と無関係ではないと諭す。
その刹那、今まで朧気だった記憶──12年前、シュバルツァー男爵に拾われる前の記憶が、鮮やかに蘇った。
『“リィン”……どうか健やかに育ってくれ。』
『……女神よ……願わくばこの子だけは──』
その意味に呆然とするリィンに、オズボーンは冷酷に微笑んでみせた。
『久しぶりだな、我が息子よ。』
『いや──帝都奪還の立役者たる《灰色の騎士》よ。』
『お前には“英雄”としてしばらく役に立ってもらうぞ。』