英雄伝説 閃の軌跡IV - THE END OF SAGA -

SEN NO KISEKI ダイジェスト 閃の軌跡III

警告 WARNING

このコンテンツには「英雄伝説 閃の軌跡III」に関する重大なネタバレが含まれています。

第1章「再会〜白亜の旧都〜」

入学式から2週間が経ち、授業や訓練が本格的に始まったある日の夜。

リィンのARCUSIIが聞き慣れない着信音を鳴らした。

ROUND OF SEVEN──

“VIIの輪”と表示された画面は、エリオットの映像を映し出した。

この特別な通信機能は、旧VII組へのオリヴァルト皇子からの計らいだった。

──翌日の自由行動日。

午前中で街巡りを終え、ブリーフィングに参加したリィン。

そこへ、分校で実施される『特別カリキュラム』の説明の為、情報局のレクター特務少佐が現れる。

それに伴う形でついて来たミリアムと、久々に対面するのだった。

全員が揃ったところで、レクターから計画書が配られる。

『帝国西側で、不穏な動きアリ。』

『新設されしトールズ第II分校をもって各地で対処に当たらせるべし。』

見えざる脅威に備えた実戦をも想定する地方演習。そこに生徒達を投入する内容だった。

憤りや呆れを見せる教官陣に対し、オーレリアは興味深そうな反応を示す。

『常在戦場』『世の礎たれ』、2つの理念の体現とも言えると説かれ、リィン達は渋りながらも納得。

週末に、南部のサザーラント州へ発つ事が決まった。

その夜、自室でラジオを聴いていたリィンは、トーク番組《アーベントタイム(夕べの時間)》が1年半ぶりに再開する事を知る。

パーソナリティの“ミスティ”──
結社の使徒クロチルダの意図は分からないが、しばらく気にかけておく事にするのだった。

──翌日、初めて行われた機甲兵教練。

リィンとランドルフで各生徒に指導し、最後に教官1名対生徒2名による模擬戦を行う事に。

ところがVIII組のアッシュ・カーバイドが、リィンに1対1で勝負を申し込んでくる。

それを受け始まった模擬戦だったが、アッシュは開始の合図がある前に奇襲用のギミックで攻撃を仕掛けた。

先手を取られたものの、リィンは冷静に反撃を開始し、相手の機体を小破。

悪びれる様子も無く立ち去るアッシュに危なっかしさを感じつつも、その高い戦闘能力に期待するのだった。

──数日後、演習地への出発日。

第II分校専用の特別装甲列車《デアフリンガー号》が到着した。

受け渡しに来たのは、鉄道憲兵隊のクレア・リーヴェルト少佐。

今回の演習のバックアップも担うようで、5ヶ月ぶりの再会を互いに喜んだ。

いよいよ列車に乗りこむ直前、リィンは留守を預かるオーレリアに言葉をかけられる。

『巨いなる力を持つ者として流れを見極めてくるがいい。』

『己の未熟さと向き合い──時に周囲を頼りながらな。』


生徒、教官合わせて24名。激動の時代を突き進む一端が、ここに開かれたのだった。

──翌日、演習1日目の早朝。

旧都セントアーク郊外に構築された演習地に、列車が到着する。


地方演習でのVII組の主な活動は、情報収集と偵察を兼ねた『広域哨戒』、現地での支援活動を行う『現地貢献』。

この2つを合わせたものを『特務活動』と定義された。

まずは現地責任者のハイアームズ侯に演習開始の報告をする為、セントアークへ向かったVII組。

そこで特務活動の要請書を手渡される。

通常の要請とは別に記された、『重要調査項目』に目が留まるリィン。

サザーラント州内で複数目撃されている“謎の魔獣”についての調査だった。

手探りながらも生徒達が1日の行動方針を決めると、最初の特務活動を開始するのだった。

しばらくして街区の巡回を終え、街道の外れにある“謎の魔獣”の目撃地点へやって来たVII組。

果たして4人のもとへ、耳障りな歯車の音を鳴らす複数の駆動音が近づいてきた。

機械の魔獣が3体──
結社《身喰らう蛇》が秘密裏に開発している“人形兵器”だった。

リィンとアルティナが先行し、連携して破壊。

そこへ見計らったように、低く渋みのある声がかかる。

飄々ひょうひょうとした中年の男が1人。興味深そうにリィン達を見回した。

“狩人”が生業だと言うその男は他の人形兵器を探しているようで、すぐに立ち去ってしまう。


残存する兵器がいないか念の為に周囲を索敵する4人。

すると先ほどの男が歩いてきた方角……
そこの崖下に、10体程の人形兵器の残骸を発見するのだった。

その後、他の要請で《イストミア大森林》に踏み入った折、リィンは不思議な金髪の少女と出会う。

その姿は生徒達には見えていないようで、名前も名乗らないまま謎めいた言葉を残して消える少女。

直後、“今の”記憶が無い事に気づいたリィンは、“何か”の存在を心に留めつつひとまず大森林を後にした。

要請の対処を終えて街へ戻った一行は、大聖堂で旧VII組のエリオットと対面。

晴れて演奏家としてデビューした彼は、巡業旅行でセントアークを訪れていた。

少しの談笑の後にエリオットと別れると、一行はセントアークを離れ、紡績町パルムへ向かった。

──午後、パルムに到着した4人は、旧道での魔獣の目撃地点にやって来る。

予期した通り現れた人形兵器に苦戦しつつも攻撃を与えていき、自爆させるまでに追い込んだ。


しかし潜んでいたもう1体が、油断したクルトとユウナを狙う。

リィンは即座に“鬼化”状態に入ると、素早い身のこなしと圧倒的な斬撃で、人形兵器に止めを刺す。

鬼化を解き消耗した様子のリィンに、クルト達は動揺しつつも何らかの事情がある事を察する。

ひとまず付近の安全を確認すると、最後にパルム間道の調査を行うべく、一旦町へ戻るのだった。


間道に出た4人は、とある廃道前に到着する。

山中へ続く道は門で封鎖され、頑丈に鎖が巻かれていた。

そこへ新手の人形兵器が現れ、挟み撃ちにされてしまう。

仕掛けてくるギミック攻撃を凌ぎ、打ち倒すリィン達。

立て続けの戦闘に生徒の体力は限界に来ていた。

ところが人形兵器の増援に追い詰められ、退路を塞がれてしまう。

生徒を庇うように立ち、再び鬼化に入ろうとするリィン。

そこへ、突如現れた蒼髪の娘──
旧VII組のラウラが、大剣を振り上げ敵を残骸と化していく。

アルゼイド流の免許皆伝に至り、臨時師範代としてパルムに来ていた彼女。

揃って町に戻り、ラウラと別れた4人は、これで1日目の特務活動を終え演習地へ帰還するのだった。

──その日の夜。
人形兵器について意見を交わす教官陣。

当面は軍への応援要請はせず、第II分校のみで対処していく。そんな方針が決まった時であった。

拡声器から発せられる挑戦的な声。間を空けずに響く爆発音と鈍い振動が、デアフリンガー号を襲った。

対戦車砲を手にした赤毛の娘──
《紅の戦鬼》シャーリィ。

《鉄機隊》筆頭隊士──
《神速》のデュバリィ。

結社の2人が、第II分校への“警告”に、奇襲をかけに来たのだった。

VIII組とIX組のフォローをすべく、遊撃を開始するVII組。

ところが死角をついたシャーリィが、列車を破壊しようと接近する。

その時、彼女を狙い、銃撃が間断なく加えられた。

銀髪をなびかせ降り立った少女──
旧VII組のフィーが双銃剣を構え、戦鬼と対峙する。

続けてエリオットも姿を見せ、魔導杖で戦域全体へ回復術を施した。デュバリィに挑むようにラウラも現れる。

高台へ跳躍し距離をとった結社の2人は、この地で起こる事に介入せぬよう、警告を発すると消え去っていった。

第II分校は壊滅は免れたものの、生徒たちは手傷を負い、列車や機甲兵は一部が損壊。

ついに結社が動き始めた事実を、否応無しに突きつけられたのだった。


──演習2日目。
早朝に到着したレクター少佐を加え、ブリーフィングが行われた。

鉄道憲兵隊・正規軍とも動かさず、分校の“現有戦力”で対処する。

帝国政府のその意向を聞き、リィンはある事を悟った。

レクターが取り出す一通の書面。

『《灰色の騎士》リィン・シュバルツァー殿──
帝国政府の要請オーダーを伝える。』

それは内戦終結後の1年半、様々な局面で《灰色の騎士》を半ば強制的に動かしてきた唯一の“契機”であった。

胸に手を当て、応じるリィン。

政府のやり方に納得はいかなくとも、巨いなる力を持つ者として、《VII組》に名を連ねた者として──

迫りくる危機を見過ごす事は出来ない、そうはっきりと告げるのだった。


そして協力を申し出る、旧VII組の3人。

理不尽な要請を独りで成し遂げてきた仲間を支える為、今動けるメンバーが集まったのだと明かした。

列車の外へ出ると、リィンの要請オーダーの事を聞きつけた生徒達が駆け寄ってくる。

自分が置いていかれる訳を問うクルト。そんな彼に、率直に実力不足を告げる。

悔しそうに立ち去るクルト達を見送り、リィンは演習地を発った。

セントアークに移動した後、遊撃士トヴァルとの通信で情報を得た4人。

結社が、宰相から『幻焔計画』を奪い返す為に動き始めたと結論づける。

まずは結社が大量の兵器を忍ばせている“拠点”を特定すべく──

駆けつけたリベール王国のA級遊撃士、《重剣》のアガットと手分けして行動するのだった。

“拠点”の情報を集める為、《ドレックノール要塞》に向かう一行。

その道中、ラウラに“神気合一”を使わない訳をリィンは問われる。

昨年の《北方戦役》で神気を発動した折、気を失ってもなお鬼化が解けず、3日間衰弱した状態が続いた事──

それ以来、“制御”が効かなくなった力を使わずにいる事を打ち明けた。

やがて到着した要塞内で、クレイグ将軍と面会する。

正規軍が“拠点”への介入を避ける理由に、この地ならではの事情がある事を言い当てるリィン。

クレイグ将軍は考えこんだ後、決心したようにある“許可証”を手渡す。

国家機密に関わるその“拠点”に入る為、ハイアームズ侯からも署名を貰うよう促すのだった。

事情を聞いた侯爵はサインをすると、思い詰めた様子で廃道の鍵を差し出す。

封鎖された廃道の先には、かつて《ハーメル》という村が存在した。

だがそれは正規軍や侯爵自身ですら触れられない、帝国史の“影”。

……4人は一路、パルム間道へ向かった。

廃道前にやって来た一行は、事情を知る遊撃士アガットと共に、その先へ足を踏み入れる。

道中、アガットは14年前に起こった、《ハーメルの悲劇》を語った。

14年前、雇われた猟兵崩れによって村が焼き討ちにされ、住人のほとんどが亡くなった事件。

画策したのは、戦功を欲した貴族派将校。小国リベールへの開戦の口実を作る為、他国に侵略された様に偽装した。


やがて陰謀を知った帝国政府は発端となった虐殺を闇に葬る条件で、リベールと停戦条約を締結。

その後は徹底的な情報工作が行われ、ハーメルでは“山津波”が起きたと発表。その名前は地図から消えたのだった。

──しばらくして廃村に辿り着いたリィン達は、慰霊碑に献花。


そこで待ち受けていたシャーリィ、デュバリィの2名と再び対峙した。

繰り出される軍用魔獣と人形兵器を、アガットの力も借りて退ける。

ところが《鉄機隊》の2隊士に《赤い星座》の連隊長まで加勢し、いよいよ一触即発──

と思われた次の瞬間、1体の機甲兵が死角から敵陣に攻撃を加えた。

操縦するのはVIII組のアッシュ。その隙をつき、VII組の3人が突撃してくる。

自分なりの《VII組》を見出し、己の“一歩先”を証明する為、双剣を構えるクルト。

しかしアッシュの機体を弾き飛ばし、巨大な人形兵器が現れる。

《神機アイオーン》TYPE-γII。

リィンは右手を掲げ、《灰の騎神》ヴァリマールを召喚した。

《神機》に対し斬撃を食らわせるが、途轍もない質量と装甲に、ゼムリアストーンの太刀が通らない。

その様子を見ていたクルトは、アッシュに代わって機甲兵に乗りこむと助太刀に加わった。

クルトが攻撃で体勢を崩し、リィンが太刀で連撃を重ねていく。

やがて神機は音を立てて崩れ落ち、機能停止した。

歓喜に湧く新旧VII組。そこへ、一連の戦いを眺めていた3人が姿を見せる。

《西風の旅団》の《罠使い》ゼノ、《破壊獣》レオニダス、そして──

3年前に死んだはずの《猟兵王》ルトガー・クラウゼルだった。

ルトガーは騎神に似た紫色の“機影”に飛び乗ると、神機の胴体を串刺しにし、大爆発を起こさせ破壊。

そのまま2つの猟兵団は離脱し、《鉄機隊》も転位術で退却してしまう。

──その後、新VII組3人の独断専行を叱責するも、臨機応変な対応を評価するリィン。

自分ならではのヴァンダールの剣を認めてもらい、面映ゆそうにするクルトだった。

──そして、演習最終日。

リィンと旧VII組は動き始めた各勢力を警戒しつつ、再会の日を待ち望んで暫しの別れを告げた。

こうして、サザーラント州での演習は終了。第II分校一同を乗せた列車は、リーヴスへと帰還するのだった。